Market Eye

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歴史は繰り返すか

2025年08月04日(月)

ちょうど1年前のことを思い出す人もおおいのではないか。

月曜日の急落、円高、株安の陰の極だった。

ポジションがすべて含み損になり、信用で買っていた人は損切りを迫られた日だった。

一方で、ここぞとばかり思いっきり買い出動した方もいたはずだ。

悲喜交々とは、このような日の言葉かもしれない。

さて、歴史は繰り返すのか。

4月上旬に米トランプ大統領の関税導入の発言でマーケットは急落した。

その後、TACO相場が続き、7月下旬になって、関税合意が広がり、市場に安心感が広がって、最後の上げを演じた株式市場だった。

まさにゴルデロック相場だったといえる。

だが市場は急変するものだ。

上がったものは、いずれ下がるのは世の中の常、上げ相場が永遠と続くはずはない。

どこかで天井を打ち、下げ相場に転じる。

日本の個人投資家は、先々週に日経平均株価が天井を付ける中で大幅な売り越しを演じ、天井に一役買った外人投資家のまさに裏を行ったわけだ。

そして、先週末、米国米国雇用統計が発表された。

7月の数値は市場予想を裏切ったが、市場がびっくりしたのは、5月、6月の数値が大きく下方修正されたことだ。

米トランプ大統領は、労働統計局長を解任することになったほど、大統領でなくとも、この下方修正には市場関係者は驚いたはずだ。

米国経済は堅調と受け止めていたFRBの理事たちも、さすがにこの下方修正を目の当たりにして、経済の減速を感じたに違いない。

これで、9月以降のFOMCでの利下げの可能性はかなり高くなってきたと言えよう。

それを受けて、ドル円も150円台から147円近辺まで急落し、利上げできない日銀、利下げモードのFRBという構図が出来上がってきたとなると、一段の円高も見ておかないといけない。

米国景気堅調、ドル円はドル高、という前提が崩れてきたということだろう。

今週から欧米は夏休みになってくる。

外国人投資家の売買も低調となり、夏枯れ相場、売買代金が細ってくる時期だ。

同じ外国人でも、ヘッジファンドは、この流動性が低くなってきたときに大きく仕掛けてくる。

今週から来週にかけては、このあたりに注意したい。

だが、今の水準では買いたくない投資家にとっては、千載一遇のチャンス到来となるやもしれない。

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プロフィール

西堀敬(にしぼりたかし)

西堀敬(にしぼりたかし)

IPOジャパン編集長
(株)日本ビジネスイノベーション代表取締役
日本テクニカルアナリスト協会検定会員

1960年滋賀県生まれ。大阪市立大学商学部卒。和光証券(現、みずほ証券)の国際部、ウェザーニューズ財務部長、米国系Eコマース会社の日本法人 CFO&COO、IRコンサルティング会社取締役を経て、2011年より現職。上場会社の社外取締役を複数兼務する。
また、2002年より東京IPO編集長、2015年12月よりIPO No.1サイト『IPO Japan』を監修、編集長に就任。TV出演や経済誌への執筆、セミナーや講演会などIPOの第一人者として市場の啓蒙・発展に尽力している。

著書に『改訂版 IPO投資の基本と儲け方ズバリ!』(すばる舎)、『IPO株の本当の儲け方』(ソフトバンククリエイティブ)。


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