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ここまで堅調なIPO市場の先行き

2017年04月28日(金)

2017年のIPOは4月末までで32社となっている。

リーマンショックで2009年には19社まで落ち込んできたIPOであったが、アベノミクスもあって回復してきた後の年間のIPO社数のピークは2015年の92社となっている。

2015年の1月から4月までにIPO数は33社であることからすると、2017年のペースは高調ではあるものの、年間で2015年を抜くにはやや難しい気がしないでもない。

5月はGWでプライシングができないこともあってIPOはないが、GW明けから新規上場の承認が出てくる。 

市場の噂では6月は10社程度がIPOするようだ。 

一方、IPOの初値を見ていくと、今年のここまでの32社平均の初値騰落率は108%と高水準となっている。

日経平均株価は米国トランプ大統領が就任した直後にピークを打って、その後は外国人投資家の売りや国内機関投資家の期末の益出しなどで軟調に推移した。

つまり大型株は売り込まれたわけだが、それをしり目に新興株式市場に投資家の資金が流れ込んだわけである。

そのような背景から、超小型株であるIPO銘柄の初値とセカンダリーに個人投資家の資金が集まり、IPO銘柄は結果としてかなり堅調に推移してきたと言える。

そして、ここに来て、株式市場のリスク材料であったイベント(フランス大統領選挙、北朝鮮の地政学的リスク)を消化して、2か月ぶりに市場はリスクオンモードに入ってきた。

この先の株式市場を考えると、ドル円の為替レートが110円台で推移する前提で、2018年3月期の企業業績は増益となり、日経平均株価の予想EPSは上昇、そして、日経平均株価も堅調に推移するものと見ておいていいだろう。 

但し、6月は株式市場にとっては鬼門の月になることを忘れてはいけない。

5月中旬には3月決算企業の企業業績が出そろい、いったん材料出尽くしとなる。 

そして、6月はヘッジファンドの決算でもあり、毎年、5月中旬以降にヘッジファンドの売りを連想して市場は弱含む傾向にある。

また、今年は米国でFRBが利上げに動いており、6月上旬のFOMCで利上げが決まるかもしれない。 そうすると、ドル円においても材料出尽くしで再び円高に振れる可能性も十分ありえる。

5月中旬には日経平均株価は2万円の大台に乗せるかもしれないが、そこが当面のピークになると、私は見ている。

そうすると、市場では2-3月と同じことが起こる可能性が高い。

つまり、大型株は軟調、新興市場、とりわけIPO銘柄に資金が流れ込んでくるということだ。

ちょうど、6月には10社前後のIPOがある。

初値はもちろんだが、セカンダリーにおいても、高いパフォーマンスが見込まれるのではないだろうか。

但し、高いボラティリティには気を付けないといけない。 ストップ高になったとしても、気が付いたら、ストップ安に転じているなんてこともありうる話である。

GWでしばらく市場から遠ざかる人も多いかもしれないが、このリスクオン相場の寿命はさほど長くないと見ておくべきだ。

買い場はすでに終わっており、この先は売り場を模索する時間軸であると考えておくべきだろう。

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プロフィール

西堀敬(にしぼりたかし)

西堀敬(にしぼりたかし)

IPOジャパン編集長
(株)日本ビジネスイノベーション代表取締役
日本テクニカルアナリスト協会検定会員

1960年滋賀県生まれ。大阪市立大学商学部卒。和光証券(現、みずほ証券)の国際部、ウェザーニューズ財務部長、米国系Eコマース会社の日本法人 CFO&COO、IRコンサルティング会社取締役を経て、2011年より現職。上場会社の社外取締役を複数兼務する。
また、2002年より東京IPO編集長、2015年12月よりIPO No.1サイト『IPO Japan』を監修、編集長に就任。TV出演や経済誌への執筆、セミナーや講演会などIPOの第一人者として市場の啓蒙・発展に尽力している。

著書に『改訂版 IPO投資の基本と儲け方ズバリ!』(すばる舎)、『IPO株の本当の儲け方』(ソフトバンククリエイティブ)。


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