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IPOの初値が崩れるが

2020年03月17日(火)

3月に入って、IPOの初値が公開価格を割込む銘柄が増えてきた。

その理由を考えてみると、いくつか考えられる。

まず、最初に、ブックビルディングに参加して、IPO株が手に入っても、一刻も早く現金化したい個人投資家ばかりで、買い手が不在となっていることがあげられる。

次に、公開株価は、昨今の株価下落で、フェアバリューではなくなってしまっていることで機関投資家も買わなくなっている。 

これは公開価格の決め方が、類似会社のPERの水準となっていることから、類似会社の株価が下がれば、当然のことながら、IPO株ももっと安くて当たり前になる。

特にマザーズ銘柄の株価の下落は大きく、極端なことを言えば、公開価格が決まってから上場日までの間に類似会社の株価が半分になっていたりすれば、IPO株は半値まで売り込まれても妥当だということになる。

そんなこともあって、IPOを延期する銘柄も出てきている。

先週あたりが、ひとまず株式市場の陰の極であったとするなら、先週あたりに仮条件が提示された銘柄は、ここのところの市場の動きを織り込んだ水準だともいえる。

また、公開価格を決めるもうひとつの要素のIPOディスカウント率が大きくなってきている状況でもあるはずだ。

4月以降にIPOする銘柄は、その意味において、株価は相当割安に設定されている可能性がある。

ブックビルディングに参加する投資家も少なくなってきているので、当選の確率は上がっているはずなので、ここから先の銘柄には落ちるナイフをつかむつもりで投資してみるのも良いかもしれない。

ただリスクもある。 新興市場は個人投資家の売買がほとんどである。 

流動性の低下は否めない事実であり、売買代金の回復までしばらく時間を要することになり、IPO株が割安とは言え、戻りは鈍いことを頭に入れとくべきだろう。

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プロフィール

西堀敬(にしぼりたかし)

西堀敬(にしぼりたかし)

IPOジャパン編集長
(株)日本ビジネスイノベーション代表取締役
日本テクニカルアナリスト協会検定会員

1960年滋賀県生まれ。大阪市立大学商学部卒。和光証券(現、みずほ証券)の国際部、ウェザーニューズ財務部長、米国系Eコマース会社の日本法人 CFO&COO、IRコンサルティング会社取締役を経て、2011年より現職。上場会社の社外取締役を複数兼務する。
また、2002年より東京IPO編集長、2015年12月よりIPO No.1サイト『IPO Japan』を監修、編集長に就任。TV出演や経済誌への執筆、セミナーや講演会などIPOの第一人者として市場の啓蒙・発展に尽力している。

著書に『改訂版 IPO投資の基本と儲け方ズバリ!』(すばる舎)、『IPO株の本当の儲け方』(ソフトバンククリエイティブ)。


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