Market Eye

最新記事
記事一覧
次の記事
前の記事

市場関係者の見方は危険

2020年05月08日(金)

市場関係者の見方と反対方向に行くのが常である。

市場が超弱気の時に底が入り反転、強気になっているときに天井、というのが世の中の常であることを覚えておくべきだろう。

では、今はどうかと言えば、経済活動再開への期待値が株式市場に覆われている感じがする。

本日の夜には、米国の雇用統計が発表される。

おそらく、現役の市場参加者が見たこともない、最悪の数字が出て来ることは100%間違いない事実だ。

ゆえに市場参加者は間違うのである。

なぜなら、現役の市場参加者のほとんどは、これまで生きてきた時間軸の中で物事を考える癖がついている。

今日出て来る雇用統計も見たこともない数字で、おそらく、100年に一度の最悪な事態というだろう。

そして、今が底だと、この先は徐々に改善していくので、これ以上の経済の悪化は無いという人がほとんどだろう。

それは、心底そうあって欲しいという願いと市場参加者故にそういわざるを得ない立場があることを忘れてはいけない。

心の奥底では、コロナの第2波が来たら、その時のほうが危険だ、と思っているに違いない。

だが、ワクチンや新薬の開発、臨床試験も急速に進んでおり、ネガティブ発言は禁句となっているはずだ。

だから、市場参加者としてメディアに登場する人の見方は当たらないということになる。

いまの株式市場は、金融緩和とポストコロナへの期待値で持っているだけであり、決して経済の先行きを反映しているものではないと考えておいた方が良いだろう。

では、株式投資はNGかと言えば、そうでもない。

どんな環境でも、環境を追い風にするビジネスが存在する。

テレワーク、巣籠消費、がキーワードになるだろう。

すでに株価は上がっている、という人もいるかもしれないが、コロナで調整が始まる前の水準まで上昇していても、それはノーマルな水準まで戻しただけで、この先の追い風をまだ株価は反映していないともいえる。

この分野だけは、まだまだ、始まりの始まり、と言えるだろう。

投資対象が非常に絞り込まれるので大きな資金がなだれ込めば、株価はノーマルからアブノーマルな水準まで買われることになる。

まさに中世オランダのチューリップのようになるかもしれないことも頭の片隅に置いておきたい。

最新記事
記事一覧
次の記事
前の記事

プロフィール

西堀敬(にしぼりたかし)

西堀敬(にしぼりたかし)

IPOジャパン編集長
(株)日本ビジネスイノベーション代表取締役
日本テクニカルアナリスト協会検定会員

1960年滋賀県生まれ。大阪市立大学商学部卒。和光証券(現、みずほ証券)の国際部、ウェザーニューズ財務部長、米国系Eコマース会社の日本法人 CFO&COO、IRコンサルティング会社取締役を経て、2011年より現職。上場会社の社外取締役を複数兼務する。
また、2002年より東京IPO編集長、2015年12月よりIPO No.1サイト『IPO Japan』を監修、編集長に就任。TV出演や経済誌への執筆、セミナーや講演会などIPOの第一人者として市場の啓蒙・発展に尽力している。

著書に『改訂版 IPO投資の基本と儲け方ズバリ!』(すばる舎)、『IPO株の本当の儲け方』(ソフトバンククリエイティブ)。


最新の記事一覧