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怒涛のIPOラッシュが始まる

2020年12月11日(金)

来週から年末に向けて怒涛のIPOラッシュが始まる。

12月だけで26社で、資金吸収額が約1550億円になる。

個人投資家の資金がそれだけ拘束されることになるが、初値が高くなれば、その資金が倍返しとなり、再び、市場に入ってくることになる。

年末にかけて市場が活況であれば良いが、逆回転すると資金が拘束される(塩漬け)ばかりではなく、投げ売りが出て来ることで、マザーズ市場には少なからず影響が出て来ることになるだろう。

さて、26社上場してくるが、公募・売出し玉を手に入れた投資家はいいが、ほとんどの投資家は、初値が付いた後に参戦するしかないのだが、初値が高いと、買ってもいいかどうかを思案することになるのではないか。

そんな中で長期保有を前提とするなら、初値が飛ばずに、公開価格近くで買えるかもしれない銘柄を狙うべきだろう。

初値と相関関係が強いのは、資金吸収額である。

資金吸収額が大きければ大きいほど初値は公開価格近くで付くことになる。

以下に挙げたのは、資金吸収額が大きく、おそらく初値が公開価格に近い水準で初値が付くと推測する銘柄である。
上場日  コード 銘柄名      資金吸収額(百万円)
12月16日  7944 ローランド    45,616M
12月16日  7092 Fast Fitness Japan  4,657M
12月17日  4165 プレイド      24,088M
12月21日  7358 ポピンズホールディングス 10,652M
12月22日  4168 ヤプリ 17,607M
12月22日  7342 ウェルスナビ 19,726M
12月22日  4170 Kaizen Platform 6,624M

初値が飛ばないからと言って即割安で買って良いとは言い切れない部分もある。

まず、需給を見ると、上場後当面の株価の動きが読める。
ファンドやVCの保有が大きいと、たとえロックアップがあっても、上場後に売圧力があるので、上値が重くなる。

次にビジネスモデルを見て、ストック型(サブクリプション型)になっているかどうかで、事業の安定性を見ることができる。
成長性も大事だが、上場後に業績予想の下方修正などが出てこないためには、事業モデルが崩れないことのほうがもっと大事だ。

更に、成長性だが、正直なところ、見極めは難しい。
だが、時間はかかるが、右肩上がりになることが見込めるビジネスかどうかはある程度は見抜くことができるはずだ。

上記の銘柄の中で、7342 ウェルスナビは運用資産に収益が連動するビジネスであり、この先、運用額が伸びれば、自然と売上・利益が増えるはずだ。 個人資産の運用と言う意味では、現預金を保有していても意味ない時代に入っており、何らかの運用が必要になってきている。長期保有銘柄としては有望株と言える。

上記の大型案件以外でも、株価次第で面白い銘柄も複数ある。

12月のIPO26銘柄、短期で勝負するのではなく、個別の銘柄のビジネスをしっかりと見極めて、長期保有で臨みたいところだ。







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プロフィール

西堀敬(にしぼりたかし)

西堀敬(にしぼりたかし)

IPOジャパン編集長
(株)日本ビジネスイノベーション代表取締役
日本テクニカルアナリスト協会検定会員

1960年滋賀県生まれ。大阪市立大学商学部卒。和光証券(現、みずほ証券)の国際部、ウェザーニューズ財務部長、米国系Eコマース会社の日本法人 CFO&COO、IRコンサルティング会社取締役を経て、2011年より現職。上場会社の社外取締役を複数兼務する。
また、2002年より東京IPO編集長、2015年12月よりIPO No.1サイト『IPO Japan』を監修、編集長に就任。TV出演や経済誌への執筆、セミナーや講演会などIPOの第一人者として市場の啓蒙・発展に尽力している。

著書に『改訂版 IPO投資の基本と儲け方ズバリ!』(すばる舎)、『IPO株の本当の儲け方』(ソフトバンククリエイティブ)。


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