Market Eye

最新記事
記事一覧
次の記事
前の記事

年末のご挨拶

2021年12月31日(金)

今年も大納会を迎えました。

株式市場は乱高下の1年で、相場は上に行くのか下にいくのか
先が見えなかったのではないでしょうか。

そんな中にあって、IPOは125社と2007年来の100社超えの水準となりました。

思い起こせば、2007年当時は、東京証券取引所、大阪証券取引所、
JASDAQ証券取引所が誘致合戦を繰り広げておりました。

ですが、いまはほぼ東京証券取引所が一手にIPOを引き受ける一本足で
IPO市場を支えております。

私は、3つの取引所が統合されて、市場間競争がなくなってしまったことで、
年間のIPO件数は100社を超すことはないと思っていましたが、東証の体制強化
と主幹事証券会社の努力もあって100社を超すことができるようになりました。

あっぱれ!と言いたくなる気分です。

ですが、125社の上場のうち、32社が年末の12月にIPOしたことで、新興市場の
需給が崩れて、12月には東証マザーズ市場が年初来安値を更新するなど新興市
場のメインプレイヤーである個人投資家の買い余力が大幅に低下したことから、
125社の平均初値騰落率は+57%と、アベノミクスが始まった2013年以降では
もっとも低い初値騰落率の水準となりました。

IPOの数が増えることは株式市場の活性化の観点から、素晴らしいことですが、
投資家の観点からすれば数が多くなりすぎることは、需給が緩み初値が飛ばな
くなり、IPOの公募・売出し玉を得ることが必ずしも儲けに繋がらなくなって
くることになってしまいます。

でも、私が思うに、投資というものは、単に公募で買って初値で売って儲ける
なんていうことはあまり意味はなく、投資先企業がいかにビジネスを通して
企業価値を高めてくれるかに賭けることのほうが醍醐味があると思っております。

今年、IPOした125社においては、きっと大きく化ける企業があるはずです。

それは株価で言えば、5倍なのか、10倍なのか、20倍なのかはわかりませんが、
その原石が数多く生まれたことには違いありません。

12月にIPOした企業の株価は、需給で大幅に売り込まれている銘柄も多数あります。

いまは輝いていない原石かもしれませんが、磨けばダイヤモンドになるかも
しれない銘柄があると私は思っています。

セカンダリー市場はこれからです。 

2022年のIPOも3社出ていますが、それに気を持っていくのではなく、
すでにIPOした2021年のIPO銘柄をもう一度じっくりと見直してみては
いかがでしょうか。

きっと素晴らしい原石がいくつも見つかるはずです。

寝正月もいいですが、IPOジャパンのサイトを見ながらお正月を過ごして
いただければきっと掘り出し物が見つかると思います。

それでは、皆様、今年も1年お世話になりました。
2022年が輝かしい1年になりますことお祈りしております。


A Happy New Year !!!!!!!!


IPOジャパン編集長
西堀敬

最新記事
記事一覧
次の記事
前の記事

プロフィール

西堀敬(にしぼりたかし)

西堀敬(にしぼりたかし)

IPOジャパン編集長
(株)日本ビジネスイノベーション代表取締役
日本テクニカルアナリスト協会検定会員

1960年滋賀県生まれ。大阪市立大学商学部卒。和光証券(現、みずほ証券)の国際部、ウェザーニューズ財務部長、米国系Eコマース会社の日本法人 CFO&COO、IRコンサルティング会社取締役を経て、2011年より現職。上場会社の社外取締役を複数兼務する。
また、2002年より東京IPO編集長、2015年12月よりIPO No.1サイト『IPO Japan』を監修、編集長に就任。TV出演や経済誌への執筆、セミナーや講演会などIPOの第一人者として市場の啓蒙・発展に尽力している。

著書に『改訂版 IPO投資の基本と儲け方ズバリ!』(すばる舎)、『IPO株の本当の儲け方』(ソフトバンククリエイティブ)。


最新の記事一覧