Market Eye

最新記事
記事一覧
次の記事
前の記事

サブクリプションモデルの終焉

2022年03月14日(月)

IPO株が軟調な動きとなっている。

初値天井というか、上場日の高値を抜く気配のない動きに終始している。

今年に入り、上場承認されたものの、その後、承認取り消しとなってる銘柄も複数でている。

昨年まで、上場時は赤字だけど、将来黒字化を見込んだIPOが多く出てきた。

いわゆる事業がサブクリプションモデルで、損益分岐点売上高を超すとずっと黒字が継続するであろうビジネスモデルだ。

ところが、そんな銘柄への評価が急に低くなって、買い手不在状態となっている。

その背景には、利上げ、があると推測する。

米国は今週のFOMCでFFレートが最低でも0.25%上がることになる。

そして、年内に最低1%は上昇することになるだろう。

これまで金利がほとんどなく、DCFで計算した企業価値でエクイティファイナンスしてきたベンチャー企業が、利上げで逆風にさらられているということではないか。

上場してもPERが計算できないとすると、企業価値のよりどころはDCFしかなく、日本でも少しずつ金利が上昇しており、目先が赤字でのDCFの計算根拠にもならないとなると、機関投資家は株価評価すらできなくなる。

つまり上場承認されても機関投資家の評価が出なくなり、仮条件すらも提示できないということになる。

赤字のサブクリプションモデル企業はのいIPOは減少し、上場できたとしても株価は期待できない状態が続くだろう。

だが、仮に、上場後に黒字展開できた企業の価値は一気に高くなる可能性は十分ある。

黒字すぐに見込めるか否か、これがIPOできるかどうかの分岐点になりそうだ。

最新記事
記事一覧
次の記事
前の記事

プロフィール

西堀敬(にしぼりたかし)

西堀敬(にしぼりたかし)

IPOジャパン編集長
(株)日本ビジネスイノベーション代表取締役
日本テクニカルアナリスト協会検定会員

1960年滋賀県生まれ。大阪市立大学商学部卒。和光証券(現、みずほ証券)の国際部、ウェザーニューズ財務部長、米国系Eコマース会社の日本法人 CFO&COO、IRコンサルティング会社取締役を経て、2011年より現職。上場会社の社外取締役を複数兼務する。
また、2002年より東京IPO編集長、2015年12月よりIPO No.1サイト『IPO Japan』を監修、編集長に就任。TV出演や経済誌への執筆、セミナーや講演会などIPOの第一人者として市場の啓蒙・発展に尽力している。

著書に『改訂版 IPO投資の基本と儲け方ズバリ!』(すばる舎)、『IPO株の本当の儲け方』(ソフトバンククリエイティブ)。


最新の記事一覧