米国雇用統計の結果は良くてもドル円が円高に
2016年07月09日(土)
7月8日に発表された米国雇用統計は予想外の結果となった。
6月の米国雇用統計は、非農業部門の雇用者数が前月比で28万7千人の増加となった。
先月はわずか1万1千人しか増えなかったのだが、大きく持ち直し、市場予想の17万人増加から大幅なアップとなった。
雇用者数が伸びれば、それは、すなわち「景気が良い」との判断に繋がり、FRB(米連邦準備理事会)は次期のFOMC(米連邦公開市場委員会)で「利上げ」を決断する大きな材料になるはずだ。
米利上げとなれば、日米金利差が広がるとの思惑で、ドル高円安、になるはずなのだが、昨晩のNY市場でのドル円為替レートは、反対に円高に振れて、一時は99円台にまで突入してしまった。
これは明らかにこれまでの動きとは異なる。
BREXITを受けて、世界的な経済情勢は不透明感を増しており、6月の雇用統計だけを見て、景気は上向いているとの判断は出来ないはずだと市場は見たに違いない。
原油価格も通常なら大きくプラスに傾くところだが、一時的に弱含み、終わってみれば横ばいとなっている。
日経平均株価先物取引は夜間取引で大きく値を切り上げたが、為替が円安に振れていないからには、日本企業の業績には下押し圧力が強いままで、月曜日の日本の株式市場も寄付きは高くとも日中はじり貧になるように思われる。
週明けは参議院選挙の結果も出て、自民党大勝となれば、この3年間は株価上昇!が当然の動きであったが、今回ばかりは、選挙の結果が市場を支援することは限定的であると考えたほうがよいだろう。
例え、財政出動が10兆円規模で実施されるようなニュースが出たとして、それで、上場企業の業績が下支えされるのかどうかは、また別物である。
ドル円為替レートを円安に向ける介入を強烈に実施する、ターゲットは110円、くらいのことを麻生財務相が言わない限り、日経平均株価の下値模索はしばらく続きそうだと考えておくべきだろう。
とはいえ、株式市場の底は本当に近く、今しばらくは静観しておくべきではないか。