オリンピックが終わると
2016年08月16日(火)
オリンピックも余すところ1週間を切ってきた。
日本のメダルはすでに28個とこのままの調子が続けば、前回ロンドンを超す勢いとなっている。
4年後の東京オリンピックに期待を繋げるよい結果になりそうだ。
日々、深夜、早朝にテレビにくぎ付けだったお盆がそろそろおわり、再び、ビジネスに復帰するサラリーマン諸氏も多い事だろう。
オリンピックという世界がひとつになれて平和の象徴のようなイベントが終わった後にマーケットでは何かが起こるのではないだろうか。
先のロンドンオリンピックはリーマンショックから立ち直りつつ世界経済を追い風に、オリンピック直後は何も起こらなかった。
しかし、その前の北京オリンピックの翌月の9月にはリーマンショックが起こり、世界経済を破滅へと追いやったことは記憶に遠い話ではない。
あれから8年が過ぎて、米国のNYダウは史上最高値を更新している。 我が世の春を謳歌していると言っても過言ではない。
だが、この株高の背景には金融緩和という劇薬があってのことではないだろうか?
FRBは利上げに踏み込めない、ならば、いましばらくは株式市場は大丈夫という論理があることは間違いない。
ひるがえって日本はどうだろう。
6月末のBREXITで日経平均株価は1万5000円まで売り込まれたのだがその後は順調に戻している。
市場関係者の中には年末には1万8000円という声も出てきている。
だが、現実問題、そんなに簡単に株式市場は戻り続けるだろうか?
企業の第一四半期決算が集計されたが、前年同期比で経常利益が2割減になっている。
なのに通期ではほとんど前年比から落ち込まない見込みになっている。
為替が円安になるとでも考えてのことだろうか?
日経新聞の解説を読むと、合理化+経費削減、それと数量アップで前年比並みを見込む、と書いている。
世界の景気はまだまだ拡張し続けるという前提で企業業績を見込んでいるわけだ。
しかしながら、景気はまさに循環する。
この8年間、回復+成長した世界経済はどこかで踊り場を迎えて、リセッションに繋がるはずだ。
それが今年なのか、来年なのかはわからないが、もうそろそろ天井は近いのではないだろうか。
景気が下振れし始めると、中央銀行の金融緩和などへのツッパリにもならない。
日銀のETF買いも絶好の売り場を作るだけになってしまうだろう。
では、リセッションに入るかどうかの見極めであるが、やはり世界経済のエンジン役の米国経済の動向だろう。
9月2日には8月の雇用統計が発表される。
米国失業率はすでに4.9%まで低下しており、完全雇用状態に近い。
ここから更に失業率が下がることは期待できない。
となると、非農業部門雇用者数 の増加も毎月毎月20万人も増え続けることは難しいと言えるのではないだろうか。
もし、仮に増加数が10万人を割り込むことがあると、FRBは利上げはまだ尚早と判断しかねない。
となってくると、日米金利差は拡大せず、円ドルは円安には向かわないことになる。
そして、日銀は9月下旬の金融政策決定会合で、マイナス金利の総括をすることになっている。
メガバンクがマイナス金利で第1四半期だけで3000億円の減益になったことから、マイナス金利を深掘りすることは難しいだろう。
国債の購入額を上げたとしても金利を更に低下させる効果は限定的としか言いようがない。
つまり日本は利下げして円安に持ち込む金融政策には限界があるといえるのではないか。
物事をネガティブには考えたくないが、オリンピックの終焉とともに何かマーケットにも大きな変化が訪れるような気がする。
そう言えば、9月には2001年に「9.11」という大惨事もあった。
何が起こるかわからないが、何かが起こりやすい9月であることも確かである。
投資家の皆さんは、なんとなく巡り合わせが良くないことが起こるかもしれないしれないことを念頭に置いておくべきではないだろうか。