日米金融政策で見えにくくなる日本株の先行き
2016年08月29日(月)
週明けの東京市場は円安で株式が買い戻される展開となった。
円安の発端は、先週、金曜日に米国において金融シンポジウムが開催され、米FRBのイエレン議長が「利上げの環境が整いつつ」あると発言したことにある。
FRBの理事連中は、8月に口先介入で9月利上げに言及するものが多く、総元締めの議長までもが後押しする発言をしたとなれば、9月のFOMCでも利上げは確定ではないかと市場は考えるのやむを得ないだろう。
しかしながら、ここから数カ月前の5月GW明けにも同様の発言をしていたイエレン議長が、5月の米雇用統計の数字をみて、一気に旗の色を変えたことは記憶にあるはずだ。
まずは、今週末の雇用統計の数字待ちをするのが正しい判断ではないだろうか。
非農業部門の雇用者数の増加が十数万人以上であれば、9月21日のFOMCでの利上げ確度は一段と高まり、当確、になるかもしれない。
いまはまだ出口調査を始めた段階と言ってもいいだろう。
では、今週末の雇用統計の数字で確信を得たとして、そのまま一本調子でドル高円安が続くと見ていいだろうか?
もうひとつ超えるべき山があると私は見ている。
それは、21日の日銀金融決定会合の結果である。
もし、同日の米国(日本時間の深夜)にFOMCで利上げすると見込んで、日銀が何もしなかった場合だ。
仮に日銀動かず、FOMC動かず、となったら、どうだろうか?
これは悲惨な結果になるにちがいない。
だが、このリスクも見ておくべきだろう。
日銀はマイナス金利を含めて金融緩和政策の総括をすると言っている。
当然のことながら、これまでやってきたことは正しい!ということを黒田総裁は言うに違いない。
だが、一段の金融緩和をするかどうかは、はなはだ見通しがつきにくい。
予断してはいけないが、私見として、日銀は9月は目を見張るような動きは実施しないと見ている。
日銀は、米国が動けば、円安で今しばらくは、株価は持つと見ているのではないか。
むしろ、2年前のように、市場がどうしてこの時期に?と考える10月に動くのではないかと見ている。
ただ、金融緩和だけで、実態経済がよくなるわけではないことも頭に入れておくべきではないか。
金利が下がっても日本国内の消費は盛り上がりに欠けるだろう。
なぜなら、アベノミクスの前半で、家も車も家電も一揃え買ってしまった家庭の方が大いに違いないからだ。
なので、金利が下がっても消費が盛り上がらず、多少の賃上げは将来不安のための貯蓄になってしまうということではないだろうか。
日本経済は長期停滞ではなく、明らかに人口減を前提とした、適正規模の経済になりつつあると考えるべきである。
それは、GDPが伸びなくても、人口が減れば、1人当たりのGDPは増えることになりはしないだろうか?
1人当たりのGDPさえ増えれば、全体がさほど成長しなくても、住みやすい国日本は維持可能かもしれない。
物事の価値観、考え方を考え直す機会が早晩訪れそうなきがする。