思わぬ結果となった米大統領選のあとは
2016年11月12日(土)
今週は米国大統領選挙の動向で肝を冷やした投資家が多かったと思います。
トランプ氏が勝ちそうだのニュースが流れた水曜日の日経平均株価が約1000円急落しドル円も101円台まで円高に急伸した。
クリントン勝利で株価続伸を狙って株を買っていた人は「やられた」と思い、ドテン返した人も多いのではないだろうか。
ところが翌日は急落した分をすべて取り返したにとどまらず、為替がどんどん円安に振れて、選挙の前の株価水準を上回ることとなった。
ドテン返して売った人が再びドテン返しで買いに走ったに違いない。
そして、昨日の金曜日は、日経平均株価は選挙前の株価水準で引けている。
さて、この先どうなるのか?
トランプ政権の政策次第と言えるが、トランプ氏の政策の中で市場が敏感に動いたのは、10年間で1兆ドル(100兆円)のインフラ投資を実施する、ことではないか。
FRBは何もアクションを取っていないのに、米国債の利回り金利が上昇した。
これが、日米の金利差拡大となりドル円が円安となったわけである。
すでに、FRBが12月に利上げに動く条件は整いつつある。
おそらく12月利上げは間違いないだろう。
ここで考えないといけないのは、リーマンショック以降、米国の金利は、FRB主導だったが、この先はホワイトハウス主導に変わる可能性があるということだ。
言葉を変えれば、トランプ氏の発言で市場が動くということになるということだ。
では、目先の年末まではどうだろうか?
おそらくトランプ氏はあまり表に出てこなくなるのではないだろうか。
となると、選挙の結果が出た直後のトランプ氏の発言だけが独り歩きすることになる。
間違いなく言えることは、財政出動期待で米国債の金利が上がってくるということではないか。
つまり、ドル円は金利差から円安の流れが続くということになる。
ただ気を付けないといけないのは、トランプ氏の保護主義的な発言で、日本から米国への輸出に規制がかかるような思惑が出てくると、たとえ円安でも米国外で作ったモノが輸出できなければ、円安効果も意味がないということになる。
従って、円安=株高とはいかなくなるかもしれない。
株価を押し上げる前提条件が変わってくるかもしれないということでもある。
これまでの株高ロジックが通じなくなるかもしれない。
米国の大統領が決まって、不透明感はクリアされたかにみえるが、また別の不透明感が出てきたといえる。
最後に、これまでも何度も書いてきているが、この先、クリスマスまでは例年市場は穏やかな動きとなる。
株価の大幅上昇がないとしても、大幅下落もないと見ておいて良いだろう。