思わぬ株高に
2019年10月19日(土)
9月に入り、米中貿易摩擦の緩和期待から株式市場がリスクオンの動きとなっている。
経済指標はリスクオンを後押しするようなものはほとんどなく株価指数だけが上へ上へと向かう展開に違和感を持つ投資家が多いのではないだろうか。
市場関係者に聞いてみると、この株高を演じているのは個人投資家だという話がある。
日経平均株価が2万2000円近辺に近づいてきたあたりから、株価指数に連動するETFを信用で売り買いする個人投資家が増えており、日経平均レバレッジ上場投信(1570)の信用売り残が9月20日~27日の週にピークとなっている。
この売りに対して真っ向勝負で買い向かっているのが、CTAと呼ばれるヘッジファンドと日本銀行である。
CTAは個人投資家の売りの買戻しさせるために指数を持ち上げて、株価の上昇に勢いをつけている。
一方の日本銀行は、年間6兆円の予算を持っているが、今年はまだ4兆円程度しか買い入れていないため、残りの2兆円の消化があり、さほど株価が下がる局面ではなくても、700億円程度のETF買いを入れている。
CTAのほうは、いつまでも買い続けることはないかもしれないが、日本銀行は売る必要がないため、残りの2兆円を適宜買っていくしかない。
1日当たり約700億円だとすると、まだ日本銀行は、最低でも残り25回程度の買いを入れることになる。
これほど強烈な買い手がいるとなると、大きく下げてもいずれ買い戻されるという前提が立てやすいことになる。
来週後半あたりから3月決算企業の第二四半期の開示が始まるが、時価総額の大きな銘柄においては、決算が悪くても、材料出尽くし、として買われる局面が出て来る可能性は十分あると考えておくべきだ。
しかしながら、10月という月は、過去を振りかえると、米国市場においては、現在までの1日におけるNYダウ下落率トップ5は以下の通りとなっている(小数点第2位切り捨て、以下同)。
・第1位:1987年10月19日 ▲22.6%
・第2位:1929年10月28日 ▲13.4%
・第3位:1929年10月29日 ▲11.7%
・第4位:1931年10月 5日 ▲10.7%
・第5位:1929年11月 6日 ▲ 9.9%
歴史に残る下げは、いずれも10月に起こっていることも頭に入れておくべきであろう。
米中協議、BREIXTなど、まだまだ予断を許さないイベントが待ち受けている。
完全リスクオンになるのは、少し様子を見てからにしておいた方がよさそうである。