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IPO投資(その1)

2020年07月24日(金)

本来なら東京オリンピック開催2日目になるはずの7月24日ですが、皆様、いかがお過ごしでしょうか?

私の著書「IPO投資」にも書いていますが、IPO銘柄への投資で成功するにはいくつかの手法がある。

私は大きく5つに分けて考えている。
1.公募売出しを買って初値売り
2.上場日のデイトレ(初値を買って上場当日に売り切る)
3. バリュエーションの変化→業績修正、決算発表
4.市場変更で機関投資家の買いにフォロー
5.超長期投資(10年)

1.については、すべての投資家が知っていることだが、IPOを公募・売出しで買うことは至難の業である。

よって、1.の説明は飛ばして、2.から入ることしたい。

2.上場日のデイトレ(初値を買って上場当日に売り切る)

IPOした銘柄すべての初値を買って上場日の高値で売ると平均で
2016年:+9.9%、
2017年: +8.4%、
2018年:+8.7%、
2019年:+8.9%

初値で買って上場日の終値で売ると平均で
2016年:▲1.9%、
2017年:+1.48%、
2018年:▲0.7%、
2019年:0.3%
となっている。

これはあくまでも平均値ですから、すべての銘柄が平均値まで初値から上昇するわけではない。

平均ではなく、初値から上場日の高値までの騰落率を分類すると以下のようになっている。

なんと初値から10%以上上昇している銘柄が相当あることがわかる。

その中でも2019年にIPOした銘柄で20%超の8銘柄をピックアップしてみた。

1銘柄を除いては、想定価格よりも公開価格のほうが高くなっている。
ロードショーで機関投資家の評価が高かったということである。
これで人気を測ることができる。

資金調達額が少ない(10億円程度まで)ことで、需給が非常にタイトである銘柄が5銘柄ある。

上場後の需給に大きな影響を与えるVCがほとんど入っていない銘柄が5銘柄ある。

ロックアップで初値が付いた後に需給を壊す売りがでない銘柄が3銘柄ある。

最後にこの8銘柄を見ると、広義のIT銘柄であることがわかる。

上場したばかりで、いかほど成長性があるのか未知数であるが、IT関連銘柄のもつ成長性のイメージが上場当日の需給をよりタイトにしているといえるだろう。

但し、このような上場当日の株価動向は市場が正常に機能している時に限ることを忘れてはいけない。

今年の春先のような相場の大きな変動があった場合は、この動きはないと考えていただきたい。

次回は、3.について解説していきたい。

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プロフィール

西堀敬(にしぼりたかし)

西堀敬(にしぼりたかし)

IPOジャパン編集長
(株)日本ビジネスイノベーション代表取締役
日本テクニカルアナリスト協会検定会員

1960年滋賀県生まれ。大阪市立大学商学部卒。和光証券(現、みずほ証券)の国際部、ウェザーニューズ財務部長、米国系Eコマース会社の日本法人 CFO&COO、IRコンサルティング会社取締役を経て、2011年より現職。上場会社の社外取締役を複数兼務する。
また、2002年より東京IPO編集長、2015年12月よりIPO No.1サイト『IPO Japan』を監修、編集長に就任。TV出演や経済誌への執筆、セミナーや講演会などIPOの第一人者として市場の啓蒙・発展に尽力している。

著書に『改訂版 IPO投資の基本と儲け方ズバリ!』(すばる舎)、『IPO株の本当の儲け方』(ソフトバンククリエイティブ)。


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