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IPO投資(その1の続き)

2020年07月28日(火)

前回、2.上場日のデイトレ(初値を買って上場当日に売り切る)について書いたが、IPO銘柄の上場当日のトレーディングについてもう少し付け加えておきたい。

どうして初値は高騰するのか?を知る必要がある。

まず、IPO株を入手するには、ブックビルディングに参加する必要がある。

ネット証券最大手だと、1銘柄に1000億円以上の資金が集まるという事実がある。

公開価格で買えば儲かるので資金が集まるのは当たり前だが、それだけ多くの個人投資家が注目している証拠でもある。

1000億円近い資金が、そのまま初値を買いに行くとは考えない方が良いが、1日の株価の騰落率が10%もあるような銘柄はほとんどないことを念頭に置いておく必要がある。

日経新聞の株式欄をみればわかるが、東証1部の銘柄で前日比で10%超値動きがある銘柄はせいぜい数銘柄しかないが、IPO銘柄だとかなりの確率で上場日に10%前後は株価が動いている。

トレーダーにとって銘柄選びで必要な条件は、
1.変動率が大きい
2.出来高が多い(板が厚い)
3.参加者が多い
であろう。

この3要素を満たすのがIPO銘柄ということになる。

私もIPOの世界に入った頃は、こんなに高いバリュエーションまで買うのは馬鹿げている、初値が吹き飛んだ銘柄には絶対に手を付けていけない、と思っていたが、それは中長期の投資家のスタンスであって、日計り売買が目的のトレーダーにとってはまたのないチャンスということになっている。

つまり、IPO銘柄の上場日の株価の動きは需給のみで動いている、ということを忘れてはいけない。

株式の価値を測る指標など持ち出して、割高だの、買われすぎなど、言っても何も意味がないということである。

だから、上場当日の高値は初値から平均で8%上まで買われても、終値は、ほぼ初値水準となっている。

私に上場当日の株価の動きについて解説するときに必ず「深追いは禁物」と言っている。

上場当日だけではなく、その後も数日買われて、株価が上昇する銘柄もあるが、その後はぺんぺん草も生えないくらいに、人気は離散してしまう。 

株価は大きく調整して出来高も減ってくる。 初値の勢いで買ったまま持っている投資家には残念な結果が待ち受けていることになる。

でも、中長期の投資家の出番は、本当は、ここからなのである。

大きく株価が調整して、出来高もない、そんな株価がある日突然動き出す、そこを見逃してはいけない。

それが、次回に述べたいことです。

次回をこうご期待!

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プロフィール

西堀敬(にしぼりたかし)

西堀敬(にしぼりたかし)

IPOジャパン編集長
(株)日本ビジネスイノベーション代表取締役
日本テクニカルアナリスト協会検定会員

1960年滋賀県生まれ。大阪市立大学商学部卒。和光証券(現、みずほ証券)の国際部、ウェザーニューズ財務部長、米国系Eコマース会社の日本法人 CFO&COO、IRコンサルティング会社取締役を経て、2011年より現職。上場会社の社外取締役を複数兼務する。
また、2002年より東京IPO編集長、2015年12月よりIPO No.1サイト『IPO Japan』を監修、編集長に就任。TV出演や経済誌への執筆、セミナーや講演会などIPOの第一人者として市場の啓蒙・発展に尽力している。

著書に『改訂版 IPO投資の基本と儲け方ズバリ!』(すばる舎)、『IPO株の本当の儲け方』(ソフトバンククリエイティブ)。


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