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円安退治の方策

2022年09月08日(木)

ドル円が145円に迫る場面が出てきました。

日本は低金利維持、米国は利上げモード一色、これでは円安になっても仕方ないです。

そんな中、我々の生活は日々苦しくなる一方です。

カロリーベースの食料自給率は昨年で38%だそうです。

年初からここまで約20%超円安になっているわけですから、食品スーパーで買うものは、単純に2割程度はなんでも上がっていて当然ということだと思います。

そして、エネルギーは乗数的に上がっているはずです。

価格の上昇X為替ですから、半端ないですね。

単純計算でも5割~2倍になるのではないでしょうか。

そんな状況の中、政府はガソリンの値上がりを抑えるために石油元売りに支給している補助金を、段階的に縮小する方針を固めた。1リットルあたり35円としている上限額を11月に30円、12月に25円に減らす方向で調整するとしている。

仮に35円すべて補助金がなくなると、レギュラーガソリンは200円超/Lとなるはずです。

高速道路の渋滞緩和策としてはいいかもしれませんが、物流コストの増加などで、その反動は価格に跳ね返るのではないでしょうか。

円安は日本の輸出企業にとっては追い風でしたが、国内のインフレを後押しします。

輸出企業は一時的に儲かっても、社員に還元しないし、大手企業だけが儲かる仕組みで、中堅以下は円安を享受できる仕組みにはなさそうです。

つまり、悪い円安になってきているということです。

このままだと、日本経済も欧米に続いて景気後退期を迎えそうな気がしてきました。

そろそろ政府も本気モードで円安対策すべきだし、特に野党の政治家は、どうでもいい週刊誌ネタを国政の場で議論している場合ではないことに気が付かないといけません。

地政学的な有事にも配慮が必要ですが、日本経済、国民生活の安定こそが何よりも大事で、それが損なわれつつあることにもっと配慮して欲しいものです。

そこでひとつ提案です。

財政で円安対策の補助金を出す代わりに、日銀が利上げを容認する。

国債の利払いが増えるのは覚悟の上ですが、仮に0.1%政策金利を上げれば、この円安が止まるどころか、円高に変わると思います。

日銀が利上げしないと見込んで、投機的なドル買い円売りが進んでいるわけですから、日銀だって利上げするんだぞ!というところを見せれば、投機筋の円売りは止まると思います。

ガソリンの補助金が1兆9000億円ですから、0.1%の利上げで国債の利払いが1兆円増えてもあまり変わらないということだと思いますね。

政治が金融政策に踏み込まないととんでもないことになりそうです。

頑固な黒田日銀総裁に任せておいてはもうダメだと思います。

たぶん、黒田総裁は、壮大な実験をやっているにすぎず、裏目に出ても、任期はあと半年とたかをくくっているのではないでしょうか。

一日も早く手を打っていただきたいものです。

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プロフィール

西堀敬(にしぼりたかし)

西堀敬(にしぼりたかし)

IPOジャパン編集長
(株)日本ビジネスイノベーション代表取締役
日本テクニカルアナリスト協会検定会員

1960年滋賀県生まれ。大阪市立大学商学部卒。和光証券(現、みずほ証券)の国際部、ウェザーニューズ財務部長、米国系Eコマース会社の日本法人 CFO&COO、IRコンサルティング会社取締役を経て、2011年より現職。上場会社の社外取締役を複数兼務する。
また、2002年より東京IPO編集長、2015年12月よりIPO No.1サイト『IPO Japan』を監修、編集長に就任。TV出演や経済誌への執筆、セミナーや講演会などIPOの第一人者として市場の啓蒙・発展に尽力している。

著書に『改訂版 IPO投資の基本と儲け方ズバリ!』(すばる舎)、『IPO株の本当の儲け方』(ソフトバンククリエイティブ)。


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