日銀マイナス金利、そして米雇用統計の発表
2016年02月05日(金)
年初から底なし沼状態の株式市場に歯止めをかけたのは、先週の金曜日に黒田日銀総裁が打ち出した、マイナス金利であった。
市中銀行が日銀の当座預金に資金を預けると金利が付くのではなく、反対に金利を取られる、という仕組みがマイナス金利である。
これで、市中銀行は日銀の当座預金に新たに資金を置くことはできなくなったと言っても過言ではない。
その影響で金利がついて元本が間違いなく確保される日本国債に資金は一気に向かい、10年国債の利回りは0.05%(2月4日時点)まで低下してしまった。市場での取引は瞬間的にはマイナス利回りになるまで国債が買われたようだ。
そして資金が大きく流れこんだのは上場不動産投資信託(REIT)であった。REITに限らず、不動産株には一気に資金が流れ込んで、株価は暴騰した。多額の借入を必要とするREITや不動産会社の借入金利が下がり、配当利回りが上昇することが投資家のメリットになるとの思惑があった。
ところが、わずか数日で、黒田日銀総裁のバズーカ砲が効かなくなってきた。
ドル円はマイナス金利を受けて、121円台まで円安が進んだのも束の間で今朝は116円台まで円高ドル安に押し戻されてしまった。
日経平均株価も1万6000円から1万7000円台後半まで戻る勢いだったが、再び1万6000円台に戻りそうな雰囲気が漂っている。
この背景には、景気の下振れ懸念がくずぶっているからにほかない。
国内でも2015年10月-12月の四半期決算の発表が進んでいるが、企業業績の下方修正もパラパラと出てきている。2016年3月期決算はなんとか乗り切れるが、2017年3月期に関しては、今期から大幅に減益となるのではないかとの予想が株価の重石になっているのは間違いない事実である。
来期の業績の見通しが立たない限りは、株式市場を覆っている霧は晴れないのではないだろうか。
そのためには、所与の条件としての、為替における円安が必須となる。
本日は米国雇用統計の発表日である。予想から上振れると利上げ、下振れると利上げ先送り、が市場のコンセンサスとなる。
ドル円為替レートの分岐点となる米国雇用統計の発表となりそうだ。
もし仮に、利上げ先送りとなるようであれば、円高となる可能性もあり、ドル円は115円台に再突入するかもしれない。
金曜日の夜でお酒も入るかもしれないが、日本時間の午後10時30分にはスマホでチェックしてみるだけの価値は絶対にありそうだ。
IPOジャパン編集長 西堀敬