テールリスク
2016年06月26日(日)
6月23日の英国のEU離脱国民投票の結果、BREXITとなった。
世界の株式市場は、この結果を受けて24日のたった1日で合計2兆1000億ドル(約215兆円)の価値が失われる形になった。
前日のメディアの論調は僅差でBREXIT回避であった。 株式市場も一斉に上昇して取引を終えていた。
そして異変が起こったのは、24日の朝方からなんとなくおかしいとの空気が流れて、開票の結果がじわじわと報道されるごとに、株安、円高に繋がった。
24日、私は地方への出張で、マーケットの動きを見ることができなかった。
市場の動きを見ることが出来たのは、24日の午後1時過ぎであったが、BREXITになったことだけはその前から知っていたので、当然の結果だと驚きはなかった。
ただ、このような結果になったことは非常に驚いた。
一夜明けて、英国で「離脱」に票を入れた人の話がメディアで紹介されていて、「離脱」にチェックした理由にさらに驚いた。
「どうせ残留になるだろうから、ギリギリまで追い詰めてやろう!」ということで「離脱」に入れたという人がいたようだ。
この投票行動は、約7年前の衆議院選挙で民主党が大勝したことを思い出した。
マンネリの自民党政権にたまにはカツを入れようとした人々が政権交代を引き起こしてしまった。
その後の民主党政権がどうなったかは説明に必要がない。
BREXITが英国民の本心を反映しているのかどうかと言えば、ちょっとどころか、かなり怪しいところがあるのではないだろうか。
すでにロンドンだけはEUに残りたいという動きも出てきている。
この先の英国がどうなるのかを考えると二転三転、そして、英国内の分裂にまで発展する可能性もありうる。
この動きを市場に重ねると、過去8年間、リーマンショック後回復してきた世界経済は横ばいならいいが踊り場を迎えるように感じる。
平たい言葉で言えば、世界経済の下振れリスクが高まったということだ。
今回の事は、金融界でいうところのテールリスクが現実になったということだ。
近いところではリーマンショックがそうであった。
リーマンショックで市場は大きな打撃を受けたが、その傷が癒え始めるには半年はかかった。
2008年9月にリーマンショック、大きな底入れとなったのは、翌年の3月であった。
今回も年が明ける頃までは底入れは見えないと考えておいたほうがいいだろう。
そして今年2回目のショックは米国大統領選挙結果になりそうな予感がする。
そう考えると2番底は11月かもしれない。
最後に、テールリスクには十分気を付けるべきである。