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IPO公開価格割れにチャンスあり

2018年03月21日(水)

2018年のIPOが始まって約1ヶ月が過ぎようとしている。

ここまで8社がIPOした。 平均初値騰落率は132.29%と昨年91社の平均112.36%を上回っている。

ところが、直近にIPOした信和( 3447 / 東2)は今年初めて初値が公開価格割れ(-3.81%)となった。

信和が公開価格割れとなった背景としては、発行済株式の100%を売り出した結果、15,857百万円 もの調達を行ったことで、売りが先行したと考えられる。 

初値形成には需給が良くなかったと言えるだろう。

ところが、3月決算で配当が43円の予想、初値 1,106円だと、配当利回りは4%近くになる。 それも3月の権利付き最終日は3月27日まで保有すれば権利が確定することになる。 

この配当狙いがあったかどうかはわからないが、終値は1,165円と初値から59円高で公開価格の1150円を上回って終えている。

では、この先どうなるだろうか?  

正直、この相場の中で必ずしも株価が上がる保証はないが、昨年の東証2部銘柄で初値が公開価格割れとなった銘柄にヒントがある。

2017年に東証2部に上場した銘柄で初値が公開価格割れとなった銘柄は2銘柄のみである。

ウェーブロックホー ルテディング(7940 / 東2)  公開価格750円、初値 721円、騰落率 -3.87 % 現値1,606円(対初値+122.7%)

プレミアグループ(7199 / 東2)公開価格 2,320円、初値 2,220円 騰落率 -4.31% 現値 2,738円(対初値+23.3%)

驚きの事実を目にした人が多いのではないだろうか。

東証2部は投資家にとって最も人気のない市場かもしれないが、東証1部との差は時価総額が250億円に満たないがために2部に上場しているだけである。

1年後にはほぼ確実に東証1部になる。 

ということは、人気がないだけで買われない、その1点だと言える。

昨年2部に上場したのは8社あるが、すべての株価が堅調である。

初値が付いた直後だけ買われて、その後は売り込まれる東証マザーズ銘柄よりも東証2部銘柄で初値騰落率が低い銘柄の初値を狙うほうが精神的に安心して投資できるのではないだろうか?

今日までに上場承認されていて上場待ちの銘柄には東証2部銘柄はないが、今年も10社近くは東証2部銘柄はあるはずである。

「人の行く裏に道あり花の山」という相場の格言がある。

この言葉を実践するなら東証2部銘柄かもしれない。


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プロフィール

西堀敬(にしぼりたかし)

西堀敬(にしぼりたかし)

IPOジャパン編集長
(株)日本ビジネスイノベーション代表取締役
日本テクニカルアナリスト協会検定会員

1960年滋賀県生まれ。大阪市立大学商学部卒。和光証券(現、みずほ証券)の国際部、ウェザーニューズ財務部長、米国系Eコマース会社の日本法人 CFO&COO、IRコンサルティング会社取締役を経て、2011年より現職。上場会社の社外取締役を複数兼務する。
また、2002年より東京IPO編集長、2015年12月よりIPO No.1サイト『IPO Japan』を監修、編集長に就任。TV出演や経済誌への執筆、セミナーや講演会などIPOの第一人者として市場の啓蒙・発展に尽力している。

著書に『改訂版 IPO投資の基本と儲け方ズバリ!』(すばる舎)、『IPO株の本当の儲け方』(ソフトバンククリエイティブ)。


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