桜は散っても、株価は散らない
2016年03月26日(土)
東京の桜の開花は先週末だったが、その後一気に花が咲くような陽気にはならずに花冷えが続いて今週末を迎えた。
おそらく、週明けから気温も上がり、来週末頃には関東以西は桜の見頃を迎えるのではないだろうか。
そんな天候不順の中で、株式市場は週明けの3月28日(月)に3月決算銘柄の権利付き最終売買日を迎える。
理屈の上では、権利付き最終売買日の翌日には、配当の権利落ち分だけ株価が下方に調整される。つまり、株価は下がることになる。
個別の銘柄を見ても、3月に入り権利付き最終日までは買われていた銘柄が権利落ち日から数週間にわたり調整することがままある。
この局面では、配当を頂く権利をとるか、上昇してきた分だけのキャピタルゲインを取るか迷うところである。
では、ここで、日経平均株価ベースでの、勝ち負けを3月と4月で比較してみよう。
過去26年間の騰落を見ると、3月は14勝12敗、4月は15勝11敗となっている。
権利落ち後に株価は調整されるとしたら4月は負け越しになるはずだが、意外や意外で勝ち越しとなっている、それも3月よりも勝率は高いとは驚きである。
では、2016年はどうなるのだろうか?
おそらく、権利落ち日である29日から31日は調整となる可能性が高い。
だが、4月1日(金)は米国雇用統計の発表日であり、ひょっとすると、雇用統計の結果が良ければ、金曜日の夜中から円安ドル高に向かうかもしれない。
米国の金融政策を決めるFOMCは4月26日─27日に開催される。引き続き、日本の日銀政策決定会合は4月27日-28日開催となる。
もし、FOMCで利上げとなり、その翌日に日銀がなんらかの金融緩和策を打ち出すようなことになれば、年初からの円高トレンドはいったん変化を見せる可能性もある。
場合によっては、ドル円が120円台に戻るかもしれない。
とは言え、3月決算企業の決算発表では、非常に保守的な為替レートが前提となり、2017年3月期の企業業績は前年比でマイナスになるところが多くなるのではないだろうか。
日経平均株価の一株当たりの利益も1000円ギリギリまで落ち込む可能性もある。
そして、5月中旬には、1-3月期の日本のGDPの速報値が発表され、非常に弱い(マイナス)数値が出る可能性も十分ある。
となってくると、やはり、来年春の消費税の10%へのアップは見送るという結論が出る可能性が高い。
5月下旬の伊勢志摩で開催されるG7サミットでは、世界景気の減速に各国がどのように対応するかが焦点になるのはまちがいない。
その場で、安倍首相は、消費税10%の先送りを発表するようなことになると、日本株はひとまず買われることになるにちがいない。
だが、経済情勢が悪いことは間違いなく、株価は早晩崩れてくることになるだろう。
ここまで長い解説をしてきたが、株式市場は思惑で動くものであることを忘れてはいけない。
市場参加者の思惑がどちらを向いているのか? ここが何よりも大事である。
私の結論は、株価が上がる、つまり、投資家が株を買うインセンティブになる材料がいましばらくはありそうだ、ということである。
おそらく5月下旬のサミット前後が今年の高値となり、その後は晩秋にかけて調整がダラダラと続くのではないだろうか。
従って、権利落ち後に少し調整をしたとしても、完全に市場から離れるのではなく、もう少しだけ市場に留まるという選択肢もあると考えておいたほうがいいのではないだろうか。
桜の花は1週間後には散るかもしれないが、株式市場に咲く花はいましばらく日持ちがして欲しいものである。