IPO投資(その3:ユーピーアール)
2020年08月10日(月)
2019年にIPOした企業の中から、4銘柄を選んで説明して行きたい。
まず、2019年6月12日に東証2部にIPOしたユーピーアール(7065)。
公開価格は3300円で初値4000円と騰落率は+21.21%に留まった。
東証2部銘柄としては、調達額が17億円とさほど大きくなかったが、事業がパレット等の物流機器のレンタル及び販売と地味で上場日は人気が出なかったといえる。
また、上場期の業績で利益が前期よりも減益となっていたことも投資家が敬遠した理由と言える。
上場してわずか1か月後の7月12日に業績予想の上方修正は発表した。
経常利益の上方修正率は₊30%と前年を上回る利益になりそうだと発表した。
翌営業日の寄り付きが4,570円(前日比₊700円)とストップ高となったが、ここで高いから買うのを躊躇した投資家は後に後悔することとなる。
その後、10月には10,300円まで買われている。
株式の5分割を経て、先週末の株価が19,250円(分割後で3850円)まで上昇している。
業績は順調に伸びており、時価総額も300億円に迫ろうとしている。
形式基準では東証1部基準をクリアしており、年内にも東証1部に指定替えになるのではないだろうか。
株主構成を見ると、2020年2月期で、外国人投資家が5.9%、投資信託が4.1%、保有しており、明らかに東証1部への鞍替えを狙っているとみえる。
もし、東証1部に市場変更になれば、機関投資家の持ち分比率はまだ上昇すると考えられる。
添付したのは上場してから今日まで週足チャートだが、業績予想の上方修正が起こったには〇印を付けてあるところである。
上場してわずか1か月後、人気のなかった東証1部の銘柄に火をつけたのは「業績予想の上方修正」であった。
個人投資家の方に、上がる銘柄を教えて欲しい、と言われるが、そんなことははっきりいてよくわからない。
ただひとつ、はっきりと言えることは、株価は利益で動く、ということだ。
この利益が突然30%も上振れすれば、株価は動かざるを得ないということだ。
よって、この利益の変化を予想するのは難しいが、変化あったという開示があれば、万人が知ることができる。
この開示の翌日に買っても、もし、今日まで保有していれば、株価は4.2倍になっている。
株式投資に天才は必要なくて、地道に業績を追いかける努力だけが必要となる。
私には時間が無い、とおっしゃる方のために、私が、IPOジャパンの開示情報で種別で「業績・配当予想修正」をプルダウンで選択して、「1年以内にIPO」にチェックして検索すれば、自動的に過去1年間にIPOした企業の業績予想の開示が検索されるようになっている。
もちろん、無料サービスなので、使い放題である。 毎日、夜に一度チェックすれば、翌日の日経新聞を待たずに済むというわけだ。
株価は利益に連動することくらいは、ほとんどの投資家は理解すると思うが、では、なぜ、利益の変化率以上に株価が動くのか?
いくつか理由があるが、
まず、元々割安に放置されていた。
東証2部銘柄ということで、公開価格のPERは10倍、初値のPERも12倍程度だった。
30%の増益を伴って水準訂正されるだけでも、株価は2倍になってもおかしくない。
次に、大きな需要が生まれてしまった。
先に2020年2月に機関投資家が10%保有していることを書いたが、時価総額が60億円の水準から150億円の水準になるまで10%買ったとうことは10億以上の資金が流入しているといえる。
個人用投資家だけなら、相場の中での売り買いだけなので、ここまで株価は上がらない。
買った投資家が売らないでホールドするから株価は下げずに安定的に買われ続けることになる。
この株価トレンドは、企業が増収増益を続ける限り続くことになる。
お宝銘柄は、業績予想の上方修正にあると言っても過言ではない。
次回は、また別の銘柄で解説していきたい。