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インサイダーにならないためには

2016年05月16日(月)

先週に引き続き、新興株式市場に上場して間もない会社でインサイダー取引の疑惑が出てきている。

疑惑をもたれている会社の会長が、同社株を保有する知人らに業績予想の下方修正を公表前に伝えて損失を回避させた疑いがあるとしてしている。

同社は2015年2月にIPOして、同年の10月には業績を下方修正している。この事実だけでも投資家に多大な迷惑をかけているわけだが、加えて、経営者が下方修正の事実を開示の前に知人の保有者に伝えて売り逃げさせていたとは言語道断である。

このような経営者に対しては、一罰百戒、的な処罰も絶対に必要であるが、それだけではなく、証券取引所や主幹事証券会社が新興市場に上場する(した)経営者に対して、上場会社の経営者になるためのレクチャーをもっとしっかりとやるべきではないか。

特に新興株式市場に上場する会社の経営者は若い人が多いだけに、経営者としての経験も十分ではない。 加えて、最近は上場前にVCなどからの資金調達額が大きくて、金融機関との取引もなく、経営者としての社会的責任すら認識がないケースも多くなってきている。

新興株式市場に上場する会社の経営者の上場会社経営者としての再教育のスキームが必要ではないだろうか。 

俺に対して、そんなことは必要ないと考える経営者は、上場会社の経営から早々に降りたほうが良いのではないか。

経営情報に関与できなくなれば、自由に持ち株を売却できる。 

名誉よりもお金を志向する、いわゆる、タッチ&ゴーで売り逃げしたい経営者はできれば、東証で鐘打つことは出来ないことくらいの代償は覚悟すれば、上場前から取締役を降りておいた方がいいだろう。

そして海外に移住すればTAX Freeにもなれるということだ。

そこまで用意周到にできないならば、ちょっとしたあぶく銭を作るためのIPOやインサイダー取引には厳罰が用意されてしかるべきだろう。

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プロフィール

西堀敬(にしぼりたかし)

西堀敬(にしぼりたかし)

IPOジャパン編集長
(株)日本ビジネスイノベーション代表取締役
日本テクニカルアナリスト協会検定会員

1960年滋賀県生まれ。大阪市立大学商学部卒。和光証券(現、みずほ証券)の国際部、ウェザーニューズ財務部長、米国系Eコマース会社の日本法人 CFO&COO、IRコンサルティング会社取締役を経て、2011年より現職。上場会社の社外取締役を複数兼務する。
また、2002年より東京IPO編集長、2015年12月よりIPO No.1サイト『IPO Japan』を監修、編集長に就任。TV出演や経済誌への執筆、セミナーや講演会などIPOの第一人者として市場の啓蒙・発展に尽力している。

著書に『改訂版 IPO投資の基本と儲け方ズバリ!』(すばる舎)、『IPO株の本当の儲け方』(ソフトバンククリエイティブ)。


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