四半世紀が過ぎる
2023年10月24日(火)
私の履歴書、住友信託銀行の元社長の高橋温さん、1998年、長銀との合併が佳境にあるときの話の場面となっている。
長銀は住信との合併が流れて、破綻への道を歩むことになるが、民間銀行のトップに対して、時の政権と行政当局が、ここまで工作しても「YES」と言わなかった高橋さんは「偉い」の一言だと思う。
もし、その時、言うがままにしていたら、その後の大淘汰、大統合の中でどうなっていたかわからない。
一度でも言うことを聞いたら、その後は、なし崩し的にいろんなものを押し付けられたに違いないだろう。
誰になにを言われようとも正論を通す、相当、腹が据わっていたに違いない。
25年間、封印してきた一連の過程を公にされたことも尊敬に値する。
裏を返せば、合併を押し切れなかった政府と金融当局もかなり弱腰だったといえる。
それだけ、日本の金融界の先行きが不透明で、日本の銀行は海外で資金をまったく調達できなかった時代でもあった。
私はベンチャー企業のCFOをしていたが、あのときほど、資金繰りに窮したことは人生で後にも先にも1度だけだったことを思い出す。
四半世紀が過ぎて、いまの日本の金融機関はかなり盤石になっているが、死角は無いのか、いま一度、よくよく考える時間軸かもしれない。