Market Eye

最新記事
記事一覧
次の記事
前の記事

リスクオンの号令は

2018年05月22日(火)

3月決算発表も一巡した。

上場企業の今期の業績予想は、増収、減益になるとの見通しを企業は発表した。

前提条件となる為替の水準はドル円で105円が圧倒的に多かったが、いまは110円台で、この先、企業の業績予想の上方修正が出てくるに違いないとの見方が広がっている。

米中の貿易摩擦もいったんの合意になりそうだ。また、東アジアの地政学的リスクである北朝鮮の問題も、米朝トップ会談に期待が高まり沈静化の動きとなっている。

米国FRBはこの先も利上げを継続するとなれば、日米金利差からドル高継続が見込まれ、ますます日本企業の業績は改善するとの見方になるだろう。

だが、相場というものは、いつまでも同じ方向に動くものではない。 

上がったものはいずれは下がる。 こんなことは誰もが経験からわかっているはずである。 

なのに上がるとその流れについていきたくなのが人の性というものである。

日本株の上昇は3月中旬から始まり、すでに2ヶ月が過ぎようとしている。 

企業業績予想が保守的であることだけが、株式を買う材料なのだが、為替を除けば、本当に保守的なのかどうかを見極める必要がある。

為替は売上に直結する故に、コストが同じであれば、増益に働くはずだ。 だが、いまは原油高で円安は日本にとってはかなりつらいコストアップにもなる。 そして、賃上げ、働き方改革で時短の動きとなれば、経営は圧迫される。

そしてなによりも景気循環による、世界の景気が成熟してきていることが心配のタネである。 

市場参加者のコメントはまさにリスクオンである。 

まだはもうなり、もうはまだなり、日経平均株価はどちらだろうか。

私は、リスクオンの号令は終わりの始まりと受け止めるべきであると考えます。

最新記事
記事一覧
次の記事
前の記事

プロフィール

西堀敬(にしぼりたかし)

西堀敬(にしぼりたかし)

IPOジャパン編集長
(株)日本ビジネスイノベーション代表取締役
日本テクニカルアナリスト協会検定会員

1960年滋賀県生まれ。大阪市立大学商学部卒。和光証券(現、みずほ証券)の国際部、ウェザーニューズ財務部長、米国系Eコマース会社の日本法人 CFO&COO、IRコンサルティング会社取締役を経て、2011年より現職。上場会社の社外取締役を複数兼務する。
また、2002年より東京IPO編集長、2015年12月よりIPO No.1サイト『IPO Japan』を監修、編集長に就任。TV出演や経済誌への執筆、セミナーや講演会などIPOの第一人者として市場の啓蒙・発展に尽力している。

著書に『改訂版 IPO投資の基本と儲け方ズバリ!』(すばる舎)、『IPO株の本当の儲け方』(ソフトバンククリエイティブ)。


最新の記事一覧